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2006年 01月 13日
去年のことですが、行きつけの本屋で新潮新書のベスト10みたいなランキングがされておりました。
1位はもちろん、養老孟司の「バカの壁」だったわけですが、2位にランキングされた本がこの、「人は見た目が9割」だったわけです。<全国ランキングか、この本屋でのランキングかはわかりませんが。 でも、別に2位だからといって僕がこの本を買ったわけではありませんよ(いや、その理由もかなりのウェイトを占めるのだけれども)。僕が目に留まったのは、その本を紹介するPOPでした。 …というか、地味なブックカラーに、真面目な内容の多い新潮新書の中で、このイラストだけが微妙に浮いていました。中をちょっと見てみると、確かにほとんどの挿絵がマンガ。お堅いイメージの強い新潮新書だっただけに、このギャップは結構新鮮でした。 著者は竹中一郎。横浜国大卒の博士です。と、書くと偉そうなイメージがありますが、「さいふうめい」と書けば知っている人もいるかもしれません。以前マガジンで七年半連載していた「哲也 雀聖と呼ばれた男」の原作(再構成)を担当していた方です。現在もマガジンで賭博のマンガの原作を書いていますね。 題名だけを読むと、「人は見た目だけじゃない、心が大切なんだ」と思う方もいるかもしれませんが、この本ではいわゆる「ノンバーバル・コミュニケーション」(言葉以外の伝達)について書かれた本なので、見た目…というか、仕草や喋り方等言葉以外の全てに関するものを表しているんです。引用すると、 私たちの周りにあふれていることば以外の膨大な情報-。それを研究しているのが、心理学の「ノンバーバル・コミュニケーション」と呼ばれる領域である。最近は、言葉よりも、言葉以外の要素の方がより多くの情報を伝達していることがわかってきた。アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は人が他人から受け取る情報の割合について次のような研究成果を発表している。…つまり、言葉だけでは相手に7%しか伝わらない…という意味で、「人は見た目が9割」と言っているんですね。 個人的にはイラストつきで、「男が好む女の子の仕草」を解説している章が中々楽しかったです。少し長めですが引用いたしますと…。 目じりを下げて、唇の両端を下げることで、表情に愛嬌を出す。更に、首をやや傾げ、上目遣いになり、あなたのいうことは何でも受け入れますよ、といった雰囲気で「あのぅ」と話しかけると、男は参ってしまう。従順そうに見せるのである。「立場の低さ」を逆手にとって、男を手玉にとる手法である。それはあんたの好みじゃないんかと(笑)。 でも時々共感する部分もあったりして侮れません。 特に「活動的な~」に書かれている内容は、今流行りの「ツンデレ」を解説していてちゃんとツボは心得ている模様。 まぁ、全編こういう話をしているのではなく、そこから始まる日本人の民族性、日本人観を論ずる本になっています。日本人は外国の人に比べて言葉よりも他の部分でコミュニケーションする場合が多いからね。「相手に、わからせ、自分を通す」のがヨーロッパ流なら、「お互いに、語らずに、察する」のが日本流ということなのでしょう。<引用。 …と、ここまで書いて、納得された方もいらっしゃるかと思います。 が、ここでひとつ、この本には根本的な間違いがあるのですよ。ええ、全ての説を台無しにしてしまうほどの間違いが。 実はこのメラビアン(マレービアン)の法則、メラビアン自身が後から否定しているのですよ。「私の研究は誤解されている。コミュニケーションにおいて、言葉の伝達力がたったの7%だなんて馬鹿げたことがあるわけがない」と。 つまり、やはり「人は見た目が9割」ではないんです。 ちょっと心理学に詳しい人なら、この本の題名を見ただけで「トンデモ本」であることを見抜いていたでしょうね。<僕は知らなかったですが。 とはいえ、第一印象で相手を判断してしまう人が多いのは確か。自分自身も、見た目には気をつけたいものです。<気をつけていない。 ああ、でも顔はもうどうしようもないからなぁ…。
by mugenkannote
| 2006-01-13 10:56
| 読書
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