日記コミュニケ
カテゴリ
最新のトラックバック
以前の記事
2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 検索
ライフログ
フォロー中のブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2004年 08月 31日
ボコボコボコ…。
溶岩の煮えたぎる音が洞窟の中にまで聞こえてくる。洞窟の中というものは、だいたいは暗くてひんやりしているものだが、この洞窟の中は溶岩が放つ光と熱で、夜であるにも関わらず、うす明るく、とても暑い。 イフリートの釜。 エルシモ地方の北に位置する、一大火山地域である。この草木さえも生えない熱波の大地に、足を踏み入れるものは少ない。自らの冒険心を抑えられない冒険者か、良質な鉱物の発掘を夢見る山師か、で、なければ…。 この山の主、イフリートに会いに行く者か…。 「暑いにゃあ…。」 ミスラの少女が岩場の影にペタリと座り込む。その姿を見て、前を歩いていた9人の足が止まる。 「疲れたにゃあ、お腹空いたにゃあ、少し休みたいにゃあ。」 フラフラでも、そういうわがままを言う元気は残っているようである。 「そんなこと言って、さっきも休んだばかりじゃない。」 ヒュームの格闘家の女性が、元気付けるように少女の肩をポンポンと叩く。 「むぅ、フェテさんはいつも鍛えて体力あるから平気なんだよぅ…。ボクは白魔道士なんだからぁ…。」 フェテ、と呼ばれた女性は、困ったように腕を組む。 「でも、あたしたちより体力のないタルタルで白魔道士のコポさんや、同じくタルタルの詩人、トーカちゃんが頑張ってるんだから、もう少し歩こ、すんりたん。」 「にゃっ、すんりじゃなくてサ・ナ・リ・ィにゃ~っ!」 ばっと立ち上がって反論するサナリィだが、またすぐにヘナヘナとその場に崩れていく。ついでにピンと立ったネコミミとネコシッポもふにゃふにゃと垂れ下がっていった。 「それだけ反論する元気があれば、もう少し歩けそうだけど。」 さっきの話の中で出てきたタルタルの少女、トーカがぽつんとつぶやく。 「ま、ワシらはさなりたんがそのままの格好で休んでくれるのなら、大歓迎ですぞ。」 「マッタクデス。」 同じく会話に出ていたコポというタルタルが嬉しそうにそう言うと、隣にいたガルカの戦士、ツァイが大きく頭を上下させて同意する。 その言葉を不審に思ったフェテは、コポたちの視線を追う。その先には、ぐったりと座り込んでいるサナリィの姿があった。溶岩地帯の冒険の為、薄着をしているのだが、だらしなく伸ばされた太腿だけでなく、アクトンの捲くれた裾からロインクロスまでチラチラと見えている。 「この、エロタルがっ!」 調度いい位置にある頭を、フェテはぐりぐりと踏む。 「モットフンデ、モットフンデ。」 本人には全く効いていないようだが。 「あなたもちゃんとしなさい。そういうだらしない格好してるから、ミスラ全体がそう思われちゃうのよ。」 暗黒の鎧に身を包んだミスラの騎士、システィナが、大きく開いたサナリィの脚を強引に閉じる。多くのミスラが住む大らかなウィンダス連邦ではなく、騎士道を重んじるサンドリア王国出身の彼女は、そういう身だしなみには厳しいようである。 「まぁまぁ、さなりちゃんは縛られるのが嫌いみたいだから、強制するのは良くないよ。どちらかというと、アタシらの方がミスラっぽくないんだし。」 同じく、ミスラで赤魔道士のシグニがちょっとフォローする。 「うう、しぐにたんは優しいにゃあ。」 「で、どうする?休む?このまま行く?」 今までの話の流れを聞いていた、このパーティで唯一のエルヴァーンの戦士、グリフィンが、確認にやってくる。面倒見のいい彼は、ほぼ隠居生活をしているこのパーティのリーダー、紫電に代わって現在リーダーを務めている。 「私はあまりこういう熱い所に居たくないわ。熱や汗疹でお肌に悪いし、汗とかの匂いも気になるし。」 「フィー、貴女も騎士なんだからわがままはよさないと。」 白銀の鎧の中で暑そうにしているヒュームの女性を、グリフィンはたしなめる。フィアナはグリフィンと同じサンドリア国民であり、貴族の一人娘として箱入りに育てられた。そんな彼女がなぜ騎士を目指したのかは謎であるが、生まれついてのお嬢様体質(姫属性)というか、世間ずれした性格はあまり変わっていないようである。 「うーん・・・この辺りはボム族がウヨウヨ徘徊しているから、できればこの先の『炎の壁』を越えてから休んだ方がいいね。」 先行して下見に行っていたシスという名のヒュームのシーフが、みんなの元へ戻ってくる。彼が最もここ一帯の地形に詳しく、案内役でもある。彼の言葉には従った方がいい。 「それじゃあもう少し歩こうか。ツァイさん、すんりたんを頼むね。」 「ふもっふ。」 山ほどの大男が、小柄な猫娘を抱えて歩き始める。他のメンバーも続く。 「にゃふにゃふ、ありがとにゃあ。」 「ふもふも、ふもっふ。」 何か微妙に身体を触られているような気もするが、本人は疲れていて気にしていないみたいだ。 目の前に炎の壁が聳え立っている。山道の割れ目から溶岩が噴出し、天然の壁となって冒険者の行く手を阻んでいるのである。そしてその周りには溶岩から生まれる魔物、ボルキャニック・ボムと呼ばれるボム族のモンスターも徘徊している。今、パーティはプリズムパウダーで身を隠しているが、姿を見つけられれば襲われることは確実であり、彼らの捨て身の攻撃「自爆」は、パーティ全滅さえ起こしかねない恐るべき敵なのである。 「どうしようか…?」 考えるフェテの後ろで、シスが袋から何かキラキラするものを取り出す。 「氷の塊を使う。これで一瞬、炎の壁を消せるはずだ。」 「うーん…時々炎がおさまるときがあるから、それを待ったほうがいいと思うけど。」 トーカが淡々とした言葉を口にする。 「大丈夫。氷の塊を投げ込む時に、ボムに見つかるかもしれないけれど、俺はシーフだから逃げ足も速いし、隠れることもできる。何とか巻いて見せるさ。」 「…それだけが問題じゃないけどね…。」 とはいえ、トーカも強く引き止めるわけではなく、結局シスが炎の壁を消すことになった。 「よし、今だ。みんな、渡って。」 運良くボム族に見つからずに済んだシスは、すぐに氷の塊を炎の壁に投げ込む。瞬間、炎の壁が凍り、目の前に道が開けた。 「みんな、渡った?」 グリフィンの声に、何人かから「はい。」とか「うん。」とかの声が聞こえてくる。と、同時に再び目の前に炎が吹き上げてきた。あの小さな氷の塊では、炎の壁はほんの数秒間しか止めることはできなかったようだった。 そんな中…。 「ふにゃあ…。」 気弱な声が聞こえてくる。しかも炎の壁の向こうから。 「ちょっとぼーっとしてたら、炎の壁渡り損なっちゃったにゃあ…。ごめんにゃあ…。」 「え?…でももう、氷の塊は持っていないから…。」 困惑するシスの足元で、トーカがつぶやく。 「ね、だから炎がおさまるのを待っていた方がいいって言ったでしょう?」 「うむ…。」 イフリートへの道は、まだまだ前途多難なようである…。
by mugenkannote
| 2004-08-31 13:09
| FFXI
|
ファン申請 |
||